「愛犬のために、毎日手作りご飯を作っています」 「市販のフードは添加物が怖いから…」
その深い愛情は素晴らしいです。しかし、もしあなたが参考にしているレシピが**「ネットで見つけたもの」や「ササミと野菜を煮込んだだけ」**のものだとしたら…
あなたは知らず知らずのうちに、愛犬への**「虐待」を行っているかもしれません。 今回は、感情論ではなく、カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の研究と最新の症例報告に基づき、手作り食が愛犬の「骨を溶かしている」**という、恐ろしい科学的事実について解説します。
1. UCデービス校の衝撃:ネットレシピの95%は「欠陥品」
手作り食のリスクについて、最も有名な研究があります。 2013年、獣医学の権威であるカリフォルニア大学デービス校の研究チームは、インターネットや書籍で公開されている**「家庭用手作り食レシピ」200種類**を徹底的に分析しました。
95%が栄養不足
その結果は衝撃的でした。なんと95%にあたる190レシピが、少なくとも1つの必須栄養素を満たしていませんでした。 さらに深刻なことに、**83.5%**のレシピは「複数の栄養素」が欠乏していました。
何が足りないのか?
特に不足していたのは以下の栄養素です。
- 亜鉛 (69%が不足): 皮膚や免疫機能に必須。
- コリン (64.5%が不足): 脳や肝臓の健康に必須。
- ビタミンD (61.1%が不足): カルシウムの吸収に必須。
- カルシウム (35%が不足): 骨の材料。
「うちの子は喜んで食べてるよ?」と思うかもしれません。 しかし、それはレシピの多くが**「肉中心(タンパク質は足りている)」**だからです。食いつきの良さは、栄養バランスの良さを保証しません。愛犬は喜びながら、静かに栄養失調に陥っているのです。
2. 最新論文の警告:「肉だけの食事」が招く死
「肉と野菜だけなら、無添加で体にいいはず」 その思い込みが、取り返しのつかない悲劇を招いた事例があります。
2024年に発表された最新の論文(Case Series)では、**「骨なしの生肉」**を中心とした手作り食を与えられた大型犬の子犬たちが、次々と歩行困難に陥り、病院に運ばれました。
診断名:栄養性二次性上皮小体機能亢進症(NSH)
彼らの体で何が起きていたのか? 肉は「リン」が非常に多く、「カルシウム」がほとんど含まれていません。 このバランスの悪い食事を続けると、体は血液中のカルシウム不足を補うために、副甲状腺ホルモンを放出し、「自分の骨」を溶かしてカルシウムを取り出し始めます。
悲しい結末
その結果、子犬たちの骨はスカスカになり、わずかな衝撃で折れる「病的骨折」を起こしていました。 4匹中2匹は回復の見込みがなく、安楽死となりました。 これが、「良かれと思ってやった手作り食」の残酷な結末です。
3. WSAVA(世界小動物獣医師会)の声明
「でも、手作りにはメリットがあるはず…」 そう信じたい気持ちは分かりますが、世界的な獣医組織はその幻想を否定しています。
WSAVA(世界小動物獣医師会)の声明文では、こう断言されています。
「現代において、栄養バランスの崩れた食事を与えることに、言い訳の余地はない(There is no excuse)」
手作り食(特に生肉食)に健康上のメリットがあるという科学的証拠は**「存在しない」一方で、細菌汚染や栄養失調のリスクは「十分に証明されている」**のです。
4. 結論:カルビ研究所の提言
データ分析の結果、愛犬の命を守るために私たちができることは以下の3つです。
手作りという「行為」に酔うのではなく、愛犬の「体」を見てあげてください。 愛情の形を間違えないでください。
📚 参考文献 (References)
- Evaluation of recipes of home-prepared maintenance diets for dogs (Stockman et al., JAVMA, 2013)
- A Case Series of Four Dogs Presenting with Neurological Deficits Due to Suspected Nutritional Secondary Hyperparathyroidism after Being Fed an Exclusive Diet of Raw Meat (Mackay et al., Animals, 2024)
- WSAVA Global Nutrition Committee Statement on Risks of Raw Meat-Based Diets (WSAVA)
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