「愛犬がウンチを食べている…」 そのショッキングな光景を見て、自分を責めていませんか?
「ご飯が足りないの?」「ストレス?」 ネットで検索すると「ビタミン不足」「消化酵素不足」といった情報が出てきます。しかし、はっきり言います。
最新の獣医学において、その常識は間違いでした。
今回は、カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の衝撃的な研究結果を基に、食糞の**「本当の原因」と「唯一の対策」**を科学的に解説します。
1. UCデービス校の研究が暴いた「食糞のパラドックス」
2018年、ベンジャミン・ハート博士率いる研究チームは、約3,000匹の犬を対象に大規模な調査を行いました。 その目的は、「なぜ犬はウンチを食べるのか」という長年の謎を解くことです。
栄養不足説の崩壊 多くの飼い主が信じている「栄養不足説」。しかし、データは残酷でした。
- 食糞をする犬としない犬の間で、食事内容や栄養状態に差は全くなかった。
- 年齢やトイレトレーニングのしやすさにも差はなかった。
つまり、高価な「食糞防止サプリ」や、消化酵素入りのフードに変えても効果が薄いのは、そもそも**「栄養が原因ではないから」**なのです。
2. 真犯人は「2日以内の新鮮な便」と「オオカミの本能」
では、なぜ食べるのでしょうか?研究チームは、食糞犬の**92%**がある特定のウンチだけを選んでいることを発見しました。
それは、**「排泄されてから2日以内の新鮮なウンチ」**です。
寄生虫から群れを守る「掃除係」 実は、犬の祖先であるオオカミにとって、これは生き残るための重要な戦略でした。 多くの腸内寄生虫(回虫など)の卵は、排泄直後は感染力を持ちません。しかし、2日〜数日経過すると、卵の中で幼虫が育ち、感染力を持つ危険な状態になります。
オオカミは、巣穴の周りのウンチを**「危険になる前(新鮮なうち)」に食べて処理する**ことで、群れ全体を寄生虫の蔓延から守っていたのです。
あなたの愛犬は、汚いのではありません。**「家族を守るための掃除係」**としての本能が、少し強く残っているだけなのです。
3. 市販グッズの成功率は「0〜2%」。唯一の解決策とは?
「本能なら仕方ない」と言われても、やはりやめさせたいですよね。 しかし、同研究では絶望的なデータも出ています。
- 市販の食糞防止製品の成功率:0〜2%
- 罰を与える(叱る)などの行動修正の成功率:極めて低い
本能を「味を変えるタブレット」や「説教」で止めるのは不可能なのです。
今日からできる「物理的遮断」 唯一にして最強の対策は、**「環境マネジメント」**です。
- 秒速で片付ける: ウンチをしたら、犬が振り返る前に片付けます。
- 叱らない: 騒ぐと「注目された!」と喜び、行動が強化されます。無言で片付けましょう。
- ご褒美: 「ウンチをする→飼い主の元へ来る→おやつ」という新しい回路(代替行動)を作ります。
まとめ
今回の分析の要点は以下の3つです。
食糞は、愛犬からの「SOS」ではなく、祖先から受け継いだ「防衛本能」です。 飼い主さんがすべきは、悩むことではなく、「誰よりも早く片付けること」。ただそれだけです。
本情報は行動学的研究に基づくものですが、急な体重減少や下痢を伴う食糞は病気(EPI等)の可能性があります。 愛犬の体調に異変がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
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【参考文献】 Hart, B. L., et al. (2018). The paradox of canine conspecific coprophagy. Veterinary Medicine and Science, 4(2), 106-114.
